こんにちは。
青山鈴木不動産の鈴木です。
今回はオーナー様にとって注意しなければならない『賃借物の一部滅失等による賃料の減額等』についてお届けしたいと思います。
ご所有の不動産を賃貸していますと、その不動産に設備の不具合等のトラブルが発生することがあります。
そのような場合、修繕業者等を至急手配して不具合箇所の修理や交換等を行い、不具合の解消に努めなければなりません。
これについての考え方と致しまして、「賃料は賃借物の使用の対価とされるため、賃借人の責任によらずに賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益ができなくなった場合には、その使用収益ができなくなった部分の割合に応じて賃料は減額されること」が想定されます。
従来は、「賃借人は・・・賃料の減額を請求することができる。」とされていましたが、改正民法では、「賃料は・・・減額される。」という文言に変更されました。
つまり、従来は賃借人からの減額請求に応じて協議するとされていましたが、改正民法では、使用できなくなった割合に応じて当然に減額されることになりました。
賃料減額についての考え方
①どのような場合に?
・賃借物の物理的な破損だけではなく、設備の機能的な不具合等による場合も含めて物件の一部が使用できないこと。
・その一部使用不能の程度が、社会通念上の受忍限度を超えており、通常の使用ができなくなったこと。
・賃借人に帰責事由がないこと。
・賃借人には修繕を要する箇所を発見した場合に賃貸人への通知義務があること。
②賃料減額の目安は?
・明確な基準はありません。
・公益財団法人日本賃貸住宅管理協会にて「貸室・設備の不具合による賃料減額ガイドライン」が作成されており、賃料減額の目安を示しております。
実際の流れとして、賃借人から一部使用不能の連絡があった場合には、
・至急現場にて状況を確認すること。
・一部使用不能の程度が賃借人の通常使用を妨げる状況であるか否かを確認すること。
・賃借人に帰責事由の有無を確認すること。
を行い、修繕業者等を手配する必要があります。
その上で、
・修繕完了までに要する期間の目安を賃借人に伝えること。
・代替手段や代替品の提供が容易であれば行うこと。
・円満な解決の為に、対応について協議・決定すること。
が大切になってきます。
これまで以上に、不具合が発生した場合のスピーディーな対応が重要となってきますので、自主管理をされている大家様、兼業大家様などご所有の不動産の管理にご心配やご不安がございましたらお気軽にお問い合わせください。
国土交通省のホームページにて、一部滅失等による賃料減額の程度等についての参考として『民間住宅に関する相談対応事例集~賃借物の一部使用不能による賃料の減額等について~平成30年3月賃貸借トラブルに係る相談対応研究会』が公開されております。